VR-1HDのシステムプログラムのバージョン1.20が公開されました
VR-1HDは「ライブ配信に最適なAVストリーミング・ミキサー」と銘打つようにライブ配信に特化した機能が詰まったコンパクトなミキサーです
前回のアップデートが2019/05だったので、約8ヶ月ぶり2回目のアップデートとなります
1.20アップデート内容
公式にアナウンスされたアップデートは次のとおりです
機能追加
・SCENE TRANSITION に「 MOTION 」を追加しました。
・KEY COLOR に「 BLUE 1-3 」「 GREEN 1-3 」を追加しました。
クロマ・キー合成が可能になりました。
・KEY に「スケーリング・パラメーター」を追加しました。
・INPUT 1-3 および SCENE A-E に「 KEY SW パラメーター」を追加しました。
INPUT, SCENE の切替えに合わせて KEY の ON/OFF が可能になりました。
・SCENE TYPE に「 PbyP (Picture by Picture)」を追加しました。
不具合修正
・軽微な不具合を修正しました。
https://proav.roland.com/jp/products/vr-1hd/downloads/
SCENE TRANSITIONに「MOTION」を追加
シーンの切り替えはこれまでBlack Fade/Mix Fadeの2つだけでしたが、今回1つ追加となりました
画面が移動しながら出てくるエフェクトで、初期値だと次のような動きになります
レイアウトによって動きが変わっていきます。トランジションの時間は1.0sです
KEY COLOR に「 BLUE 1-3 」「 GREEN 1-3 」を追加
これまでキー表示(画面に画面を重ねて表示させる)は黒・白いずれかで背景を抜いていました
主に画面上にタイトルやロゴ、キャプションなどを重ねる用途の機能でした
残念ながらグリーンバック・ブルーバックを抜くことができず、一般的なクロマキーを使うライブ配信では致命的でした(OBSやXSplitなどでソフトウェアで処理して抜くほかなかった)
今回のアップデートで青・緑も背景を抜けるようになったので、クロマキーとしてグリーンバックで背景を抜いて合成することが可能になりました
それをつぶやいたところ公式アカウントよりメッセージ頂きました
ご意見ありがとうございます!クロマ・キーのパラメータは上位モデルに比べてちょっと限定的な値なので一度本番前に抜け具合をお試しください。
— Roland A&V | Japan (@RolandSG_jp) January 14, 2020
ということなので、急遽クロマキーの抜け具合も比較してみました
左:VR-1HD 右:XSplit
確かにVR-1HDは髪の毛周りの抜けが若干あまいです。XSplitは境界部分にぼかし(アンチエイリアス)が入れられるのでその差はかなり大きいです(なくてもXSplitのほうがきれいに抜けます)
入力の違いからか明るさがだいぶ変わるので、このあたりは少し調整が必要ですね
それでもVR-1HD上でクロマキー処理をしてくれる分PCの負荷は減るのでディテール気にしなければありですね
もしくは後述のスケーリングを小さくするとこのあたりは気になりにくくなります
ちなみに上位機種(今回はVR-4HD)では設定パラメータが多いのでもうちょっときれいに抜けます
左:VR-4HD 右: XSplit
それでもXSplitのアンチエイリアスはかなり優秀ですね
これはかなりきれいな緑背景の場合なので、実写のグリーンバックで行った場合はまた結果が異なるかもしれません
KEY に「スケーリング・パラメーター」を追加
青・緑で抜けるようになったキーのスケーリング(拡大率)も変更できるようになりました
これと、次項目のシーンに追加された「 KEY SW パラメーター 」を使うことで、画面を切り替えつつ、背景を抜いた画面をPIP (Picture in Picture)的に使うことができるようになります
MENU > KEY にZOOMが追加 キー画面の大きさが変えられます
ちなみにVR-4HDだとまだできないようです
INPUT 1-3 および SCENE A-E に「KEY SW パラメーター」を追加
入力やシーンの切り替え時にキーのオンオフができるようになりました
前述したようにクロマキーで抜いた画面をPiP的に入れ込むものをシーン切り替えでオンオフできます
- UNCHANGEDはシーンを切り替えてもキーの変更はしない
- OFF(BEFORE TR)はトランジション前にオフにする
- OFF(AFTER TR)はトランジション後にオフにする
- ON(BEFORE TR)はトランジション前にオンにする
- ON(AFTER TR)はトランジション後にオンにする
という設定になります
シーンの切り替え時にキーも一緒にオフしたりしないといけなかったものがしなくてよくなりました
ワンオペでも回しやすいようになっていますね
こちらもVR-4HDにはありません
SCENE TYPE に「 PbyP (Picture by Picture)」を追加
新しいシーンタイプが追加されました
今までも設定次第ではこのレイアウトはできた気がしますが、 プリセットに追加されたということなのでしょう
2画面まで可能
ゲーム配信で2人対戦とかするときのレイアウトやVR-1HDのビデオ・フォロー・オーディオ・モードを使っての複数カメラの対談配信にも使えそうです。3画面いけるともっと良かった!
もう少し欲しいところ
VR-1HDはシンプルかつコンパクトでよいミキサーですが、個人的にもう1歩欲しい部分があります
プレビューにすべての入力画面一括表示できない
プレビュー出力はMainに出力されているものと同じ映像しか表示できないため、画面に表示していない入力がどのような表示になっているかを確認することができません
そのためプレゼンテーションでスライドが表示されたのを確認してから画面を切り替え、というのができないので、様子を見てのスイッチングがしにくいです
分割されたプレビュー(VR-4HDのような)ができるといいですね
キーに指定した画面をクロップ(切り抜き)できない
PiPで表示する際はクロップできるのですが、クロマキーなどで抜いた映像はクロップすることができません
今回スケーリングできるようになったので、クロップが欲しくなってしまいました
リモートアプリであるVR-1HD RCSがPCのみ
これはVR-1HDに限ったことではないですが、操作性を考えたときにタブレットなどのタッチディスプレイで操作できるほうが直感的かつスピーディに操作ができます
オーディオミキサーではiPadで操作できるものが出てきていますので、いつか!何卒!という気持ちです
ノブをくるくるしすぎて壊れそうで怖い・・・(壊れたことはないけど)
ちなみにSurfacePro7の解像度の高さだと150%ズームでも結構小さいので操作が難しいです・・・せめて200%ズームがあると嬉しいですね
まとめ
不満をいくつか書きましたが、とてもよくできたミキサーだと思います
BGMやSEを鳴らすためのポン出し機能も、リバーブをかけるボタンもあるし、VT-4ライクなボイスチェンジャーもついてます
ビデオ・フォロー・オーディオ・モード ではマイクAに一定の音が入れば画面Aを、マイクBに一定の音が入れば画面Bを、両方入っていれば画面Cを、といった具合に音で自動スイッチングしてくれます(VR-4HDにもありますが)
最初にセッティング終えてしまえばあとは見守りつつ微調整するだけでいい感じに配信できるので、ワンオペや少人数でのライブ配信は楽でいいですね
公式サイト
VR-1HD https://proav.roland.com/jp/products/vr-1hd/
VR-4HD https://proav.roland.com/jp/products/vr-4hd/
ちなみにこの2台の大きさを比較するとこんな感じです
入力出力の数が違うので一概に比較できませんがVR1-HDは非常にコンパクトです
高さも抑えられています
なによりこだわったであろうこのデザインはとても好みです
それではよい配信ライフを!